YUKI˚*









浅いとこだったけど



もう、どこに行ったかわからなくて





ああこれは…ダメだな



って思って諦めて



ただ、ぼーっとしてたんだ




そしたら君が





「どうしたんですか?」



いきなり話しかけられて驚いた




でも不思議と君は



まるで初めて会ったとは思えないほど



普通に話しかけてきて




俺は一瞬でも




あれ?この人、前に会ったことあったかな



って思ったんだ




あとから、気づいた




たぶん俺がそう思ったのは




君が誰にでも普通に話しかけて、



困った人は見捨てられないって



そういう人だったから






「まだ間に合う!一緒に探します!」



そう言って



制服が濡れるのも気にしないで君は



ズバズバと川の中にあっという間に入って行った



俺は止めようとしたけど




「いいから!あなたも探す!」



怒られてしまった




なんて勝手な人だろう



そのときはそう思ったんだ




でも



「あったー!」



それまで黙って悶々と川を荒らしていた君が



いきなり大声を上げたから、またそれで俺は驚いて




「これですよね?!」



「あ、うん。ありが…」




そしてまた



驚いた




まるで自分のことみたいに




君はキラキラした笑顔で笑っていたんだ




良かったね、本当に良かったね



って本当に自分のことみたいに。







それから俺は急いで試験会場に行って、なんとか間に合った




いつも以上の実力を発揮できて



1位はとれなかったけど、2位だった



それも、君のおかげかもしれない





そして新入生代表で全校生徒の前に立った




生徒は全部で1000人くらいはいただろう




その中で



俺は君を見つけた





ああ、君も同じ高校だったんだ



ということは、君もあの日受験だったんだ



なのに…





でも、間に合ったんだな



良かった





気づいたよ、このとき



これが




恋だって





「そして僕は、ここでの学校生活を充実したものにしたいです」




これからの学校生活が




とても楽しく思えたんだ







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