Only One──君は特別な人──
それから、ある程度話を済ませた由美子があたしのところへ。

「おはよう。もえ」

「おはよう。さっきはどうもありがとう。何かスカッとしたよ」

「お礼言うほどのことはしてないよ。もえがあまりにも苛立っているのが分かったから、あたしが代弁してあげたんだよ」

「そんなに苛立ってた?」

「うん」

そっか。そうなんだ。

貴広のことになるとどうも周りが見えなくなるみたい。

「で、大野さん大丈夫なの?」

「今日はだいぶマシ」

「早くよくなるといいね。もえくれぐれも移されないように!」

「うん」

そう返事をした時、仕事開始前の予鈴が鳴った。

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