Only One──君は特別な人──
気になったけど、その場では見なかった。

帰りのタクシーの中でも女友達が一緒だったから、紙は開かなかった。

家に着いてポケットからすぐに紙を取り出した。

すると、“もえちゃんにまた会いたい”──そんなメッセージを添えて、番号とアドレスが書かれていた。



「──竜くん、あの時トイレ行くふりして、わざわざ紙に連絡先を書きに行ったんだよね?」

「そうだよ。そうしないと二度ともえに、会えないと思ったからな」

「あたしから連絡がくるって自信があったわけ?」

「自信なんてなかったよ」

「今思えば連絡したのが間違いだったね」

「オレはそう思わない」

竜くんはキッパリ言い切った。
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