Only One──君は特別な人──
「もえって何でも本気にするから、ついからかいたくなるんだよ」

そう言って、竜くんはクスクス笑った。


20分程してあたしの住むアパートに到着する。

「──また会いに来るから」

「ごめん。もう会うことは出来ないよ」

「じゃあ、オレもえをストーカーするハメになるかもな」

「何バカなこと言ってるのよ。あたしに来る時間があったら、合コンでも行けば?」

「オレはもえがいいんだよ」

真っ直ぐにあたしの目を見て言う。不覚にもドキっとしてしまった。

「また会おう、な?」

「……」

あたしは何も答えることが出来ず車から逃げるように降りた。
< 117 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop