Only One──君は特別な人──
竜くんを見送ることはせずそそくさに背を向けた。

家の中に入るとはぁとため息をつく。

この後どうしよう? 貴広に会いづらい。気が重い。

今日のこと話すべきだよね?

このまま隠し通すことなんて出来そうにない。

スマホを手に取り貴広に電話をかける。

「──もしもし」

「あっ。えっと…。体調はどう?」

「もう平気。咳はたまに出るけど。今日、残業だったのか? それとも今まで由美子ちゃんと一緒にいたとか?」

「あのね。貴広…」

「どうした?」

貴広の優しい声に涙が溢れてきた。

今更、後悔が押し寄せてくる。

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