Only One──君は特別な人──
「貴広、かおりちゃんが言ってたこと本当なの?」

「落ち着けって」

「この部屋でキスしたの?」

「キスしたというかされたんだよ」

「…どいうことなの? 分かるように説明して!」

「だから、とりあえず落ち着けって」

貴広はあたしをソファーの上に座らせるとキッチンへ向かった。

そして、暖かいミルクティーを淹れて持って来てくれた。

あたしは貴広の淹れてくれるミルクティーが大好き。

どこの喫茶店で飲むよりとてもとても美味しい。

だけど、今日は悠長に穏やかに味わう気分なんかじゃない。

「貴広…。あたしとつき合う前かおりちゃんと何があったの?」

今、聞きたいことは知りたいことはそれだけだ。

不安が取れるまでミルクティーを口に含むことはない。

< 137 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop