Only One──君は特別な人──
「キス……?」

あたしは貴広とかおりちゃんの顔を交互に見る。

混乱状態の頭が更に混乱状態だ。

わけが分からないよ。

「もえちゃん何も聞いてないんだよね? 詳しいことは大野さんに聞いてね。あっ。あたしがいたら話出来ないだろうから帰るね」

かおりちゃんは、満面の笑みを浮かべそう言い残して帰って行った。


「──貴広、かおりちゃんが言ってたこと本当なの?」

自分の声が震えているのが分かった。既に泣きそうだ。

「とりあえず家の中入れよ」

あたしは玄関に足を踏み入れる。

いつものように部屋へと入って行く。

そして、早速、貴広に同じ質問を繰り返す。
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