Only One──君は特別な人──
「連絡、待ってたんだ。実はあたしも貴広からの連絡待ちしてた」

「互いに同じことしてたんだな」

そう言って、貴広はクスクスと笑う。

「かおりちゃんの目の前で彼女って紹介された時、すごく嬉しかったよ」

「オレもスカッとした」

「じゃあ、今度はあたしが竜くんに貴広のことを彼氏だって紹介するね」

「それであいつが諦めてくれればいいんだけどな」

「うん…」

竜くんは手強い相手だ。かおりちゃんの時みたくすんなり行けばいいんだけど。

と、そんなことを思っていたら、駐車場に一台の車が入ってくるのが見えた。

「貴広、竜くん帰ってきたよ！」

興奮気味に言うと、貴広はすぐに車のエンジンを止めて降りた。

あたしも慌てて車から降りた。

駐車場まで小走りで向かう。

竜くんはちょうど車から降りようとしているところだった。

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