Only One──君は特別な人──
「──オレはそんなことしませんよ」

きっぱり言い切る貴広を見てホッとしてしまう。

だって土下座なんてやり過ぎだもん。

「じゃあ、あんたのもえに対する想いはそんなもんなんだな。自分のプライドを選ぶ──そいうことだろ?」

「それは違います。オレがもし土下座なんてしたら、もえは間違いなく悲しみますから。惚れた女に悲しい顔させるなんて出来ません」

貴広は言葉を続けた。

「あなたはもえを悲しませたいんですか?」

「……」

竜くんは言葉に詰まった。悔しそうに貴広を睨みつけている。

「オレがもしここで土下座したら、もえは一生あなたを嫌いになると思いますけど? それでもいいんですか?」



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