Only One──君は特別な人──
「──無駄かもしれないけど言わせて下さい」

貴広は頭を下げて言葉を続けた。

「お願いします。もう、もえには近づくのはやめて下さい」

すると竜くんは「ははは」と声を出して笑い始めた。

「いやー。そんなんじゃあさ、説得力ないんだけど?」

「……」

「土下座しろよ? 土下座してみろよ。愛する女の為にやれるだろ?」

「──竜くん何てこと言うの!」

土下座という言葉に思わず口を挟んだ。

でも、2人ともあたしの存在なんんて忘れてるかのように話は進んでいく。

「土下座したら、もえには二度と近づかないんですか?」

「ほー。やる気満々だな。あんたのプライドズタズタだな。惚れた女が見てる前で土下座なんて屈辱的だろ? 出来るのか?」

貴広は本当に土下座をするつもりだろうか?

まさか、だよね。
< 154 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop