Only One──君は特別な人──
「こんなふうにもえと話するのも最後なんだな」

「そうだね」

「もえ、元気でな」

「竜くんも。彼女が出来たら大事にしてね。もう二股なんてかけちゃダメだよ」

「あぁ。約束するよ」

あたしと竜くんの最後の約束。

きっと守ってくれると信じている。

「じゃあな」

「うん」

竜くんとほぼ同時に背を向けて歩き出す。

これで本当にサヨナラだね……。

こうしてあたしと竜くんの関係は綺麗に清算された。


「──遅い」

貴広が待つ車に乗り込むなり、貴広が言い放った一言だ。

「遅くないよ」

「いや。長かった」

あー、何かすごく不機嫌なんですけど……。
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