Only One──君は特別な人──
「あたし竜くんと10分も話してないと思うんだけど?」

「オレには一年ぐらい待たされてるような気がしたんだよ」

「い…1年!?」

って、かなり大げさな例えだよね。

「あいつにキスとかされてないか?」

「ないない。本当にない」

「そうか。なら良かった」

「そんなに心配してたの?」

「だって、もえと2人きりにするの嫌だったし」

「えー!? じゃあ2人きりにするの拒否すれば良かったじゃん」

「そうだけど、さ」

貴広はバツが悪そうに言葉を続ける。

「あの男だからもしもえと話をさせなかったら、『オレにもえを連れられそうで怖い?』とか言いそうだし」

「確かに言いそう」

いや、竜くんのことだから間違いなく言うだろう。
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