シャッターチャンス
2-side夢埜-


入学式の次の日は、一日中ベッドの中で過ごした。

幸い週末だったこともあり、学校を休む様なことはなかったが予想通り家に帰れば鬼のような形相のお母さんが待っていた。
ただでさえ高かった熱は、最高潮になり40度まで上がった。
何も食べれず、ただ廃人のようにいつまでも眠りを貪った。

月曜の朝は目覚ましよりも少しだけ早く起きた。
アラームが鳴り出す前に止めて、リビングに下りる。
お弁当を用意してくれていたお母さんに挨拶をして、家を出る支度をする。

今日こそは“彼女”を真正面から見れるかもしれない。
そんな些細な事が、私を簡単に笑顔にしてくれた。


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