初恋が実るとき・前編~あの夏を忘れない~
運命
田舎でもない
都会でもない

中途半端な街の
アスファルトの上


あたしはぼんやりと
日陰を探して歩いていた


行き交う人たちは
なんて幸せそうに見えるの?



恋バナに盛り上がる
制服の女の子たち



子供を連れたお母さんたち



自分より幸せそうに見えるのはなぜ?




別に
特別不幸なわけじゃない


あたしは
普通な毎日を送っている
どこにでもいそうな
普通の人間だ




普通に生きて
普通に恋をして






恋…





ねえ
そんなあたしが過ごした
あの夏は


隣にはあなたがいたよね



今なら言えるよ
『特別な夏をありがとう』って





でもね
あの時のあたしには
そんな余裕はなかったの



なぜ人は
手遅れにならないと
本当に大切なものに
気づけないのですか?


















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