初恋が実るとき・前編~あの夏を忘れない~
バスの窓の外に
あの病院が見えた


あたしは『願いの丘』で過ごした
まもるさんとの時間を思い出していた


ねぇ
まもるさん

あたしがもっと早く
まもるさんが『お兄ちゃん』だってことに気づいたら


もっともっと
一緒にいれたかな?







ううん
子供のころ
自分の『初恋』に気づいてたら
違う未来があったかな


握りしめた手に
涙がこぼれた





あんなに泣いたのに
涙ってどのくらいあるんだろう・・・


頬につたう涙を拭おうと
バックの中のハンカチを探した


「あっ」
バックの中から
さとるから受け取った封筒が落ちる



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