second story
第2章 最後の学園祭

金烏玉兎

「いつも送ってもらっちゃって、ごめんなさい」

「いや、夜道は危ないし

カナちゃんと一緒にいれて嬉しいから、俺」

ナオキさんが紳士的にリードしてくれる。

最近はレイナさんとよく会うようになり、

帰りが心配だからとナオキさんが

送り迎えをしてくれる機会が増えた。

「でも香月さん、いい人だよな。

記憶を取り戻す為のトレーニングを手伝ってくれたりして」

「はい、お姉さんが出来たみたいで嬉しいです」

「一人っ子って…淋しくない?」

「小さい頃はそうでしたけど、

今はサヤカやマイがいるから平気です。

…それに、ナオキさんもいるし」

例え記憶が無くても、今のあたしにとっても

ナオキさんは大切な人。

それだけは断言出来る。

「…ありがとう」

「少しだけ…寄り道したいな。

公園行きませんか?」

「ああ、いいよ」

紅葉に彩られた木々の間を抜けて

あたし達は夜の公園へ向かった
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