second story
翌日、俺は再び病院を訪れた。

病室の前でお義母さんに会うと

「ちょうどよかった。

少しお話いいかしら?」

と声を掛けられる。

「はい、どうしました?」

「カナね、記憶がなくなってるのは

だいたい過去数ヵ月~1年くらいの範囲みたいなの。

ナオキくんには悪いけど

あの子、自分の名前はもちろん

サヤカちゃんやマイちゃん達の事はしっかり覚えているみたいで…」

「え、それだけなんですか?

良かった…忘れられてるのが俺だけで」

「どうして?辛くないの?」

「辛くないって言ったら

嘘になりますけど、でもそれだけだったら

これからのカナの人生に影響は
あまりありませんよね?

過去も大事だけど、

未来をどんな風にカナと

過ごしていくか

そっちの方が俺にとって

重要ですから」

「…そう。悪いんだけどカナの事

見ててもらえるかしら?

着替えとか取りに戻らないといけなくて」

「はい、分かりました」

病室前での立ち話を終え

深呼吸して俺は部屋へと

入っていった
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