second story
第1章 閉ざされた記憶

夕暮れの病室で

「ごめんなさいね、突然こんな事になって」

カナのお母さんが申し訳なさそうに

俺に深々と頭を下げた。

「そんな、気にしないで下さい。

お母さんの方こそ、これから色々大変なのに…」

「私なら大丈夫よ。

カナがこうして無事でいてくれただけで、ね」

「…俺、この先自分に何が出来るか分からないけど

俺もカナの側にいてもいいですか?

記憶を取り戻す手助けをしたいんです!」

「もちろん、是非お願いします。

夏休みの前辺りからね、

あの子が笑顔でいる事が多くなってたの。

何かあったんだろうなとは思ってたけど、

これからも娘をよろしくね」

肩に手を置かれる。お義母さんに認められた俺は

カナの為に生きてこうと

改めて思った。
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