砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
それはいきなりの刺激で、リーンには快感より痛みが走る。

片方だけでなく、両方を掴まれたとき、


「い……痛っ」

「なんだ? 私に触れられることが不満か?」


リーンは慌てて言い訳する。


「とんでもございません。ただ……もう少し優しくしていただけたら……」


小さな声で伝えた途端、サクルは手を離した。


「いいだろう。ならば、自分でしてみせるがいい」

「あの……自分で、とは、どのようにでございますか?」


リーンはサクルの言葉を、彼にして返せと捉えた。

サクルの身体に触れたらよいのか、と思ったが、王の望みは違った。


「決まっておろう。自分で自分の胸を揉み、下腹部に指を這わせてみよ、と言っている」


瞬時に頭に血が上り、リーンは真っ赤になる。


「じ、自分で、と言われましても」

「私のやり方が気に入らんと言ったのはお前だ。お前の気に入るやり方を見せるのだ。さあ、やれ」


サクルの金色の瞳は真剣な光を放っていた。

(逆らえないわ……サクルさまの望みなら)


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