砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
唇を重ねることの心地よさに、彼も気づいたのだろう。

アミーンもしだいに舌を絡めてくる。

それをかわすように動かし、自分の口腔内に誘い込む。強く互いの唇を吸い合った直後、シャーヒーンの指先はアミーンの猛りを捕らえた。


「あっ……それは……」


途端に唇を離し弱々しい声を上げ、少年のような顔でシャーヒーンを見ている。その薄茶色の瞳が潤んで見え、安心させるように彼女は微笑んだ。

そのままゆっくりと彼の前に屈み込む。 


「待って……それは、待ってください、シャーヒーンどのっ!」


何をするつもりなのかわかったのだろう。

必死で止めるが、それより早く彼の猛りはシャーヒーンの口の中に納まっていた。


これほど濃厚な愛撫を受けたのも初めてに違いない。口の中は躰の中に匹敵する悦びを得られるという。

シャーヒーンが咥えて軽く吸い付いた瞬間、「あっ……ダメ、だ」短く声を上げ、アミーンは精を放っていた。

シャーヒーンはそれをすべて飲み干し、ゆっくりと顔を上げる。


――怖がらないで、恥じることもないわ。安心して……。


「シャーヒーンどの……」


頬を赤く染め、肩で息をしながらアミーンは彼女をみつめていた。


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