砂漠の舟 ―狂王の花嫁―(第二部)
それは拒否ではなく、もっとサクルの愛が欲しいと言っている。

リーンの不安が吐息と共に伝わり、サクルは益々わからなくなった。


(いったい、リーンはどのように愛されたいのだ……?)


彼女を硬い地面に押し倒そうとした欲望を抑え込み、サクルは振り切るように立ち上がる。


「わかっておる。無茶をさせるつもりはない。おまえは寝台で眠るがいい。続きは身体が回復してからだ」

「いえ……水を汲みませんと。それに、食事の用意が……」


やつれたようなリーンを働かせるつもりなど彼にはなかった。

リーンに充分な休養を与え、“砂漠の舟”の力を借りて、夜の砂漠でふたりきりの時間を過ごしたい。そんな計画を立てていたのだ。


しかし彼が口にした言葉は……。


「妻としての役目を果たせと言っている。それともおまえは、奴隷や下働きの身分になりたいのか?」

「……申し訳ございません……」


リーンは顔を隠しながら小さな声で答えた。

なんの疑問も抱かず、サクルは妻を寝台まで運んだのだった。


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