愛を教えて ―輪廻― (第一章 奈那子編)
奈那子の命には替えられない。
太一郎がうなずこうとしたとき、
「なんとか……残せませんか? わたし、どうしてももうひとり産みたいんです……お願いします」
奈那子は、思いのほかしっかりした声でそう言った。
「奈那子! お前、そんなこと言ってる場合じゃ」
「だって……太一郎さんの子供、産みたいの。この子も大事よ……でも、あなたの子供を産めないなら、妻ではいられない……」
それは、後継者が必要な家に生まれた者の習性かもしれない。
後継ぎが、と言われ続けた太一郎にもよくわかる。太一郎の妻でいるためには、彼の子供を産まなくてはならない。奈那子がそう思い込んでも無理はない。
そして彼女は、父親の言葉にも深く傷ついていた。
『他の男の子供を亭主の実子にする……母親によく似た恥知らずな女だ』
理屈ではなかった。
太一郎の子供を産んでこそ、自分たちは本当の家族になれる。奈那子の切々としたまなざしに、その思いが痛いほど伝わってきた。
太一郎はグッと息を飲み込んだ。
そして奈那子の手を優しく握り、ニカッと笑ってみせる。
太一郎がうなずこうとしたとき、
「なんとか……残せませんか? わたし、どうしてももうひとり産みたいんです……お願いします」
奈那子は、思いのほかしっかりした声でそう言った。
「奈那子! お前、そんなこと言ってる場合じゃ」
「だって……太一郎さんの子供、産みたいの。この子も大事よ……でも、あなたの子供を産めないなら、妻ではいられない……」
それは、後継者が必要な家に生まれた者の習性かもしれない。
後継ぎが、と言われ続けた太一郎にもよくわかる。太一郎の妻でいるためには、彼の子供を産まなくてはならない。奈那子がそう思い込んでも無理はない。
そして彼女は、父親の言葉にも深く傷ついていた。
『他の男の子供を亭主の実子にする……母親によく似た恥知らずな女だ』
理屈ではなかった。
太一郎の子供を産んでこそ、自分たちは本当の家族になれる。奈那子の切々としたまなざしに、その思いが痛いほど伝わってきた。
太一郎はグッと息を飲み込んだ。
そして奈那子の手を優しく握り、ニカッと笑ってみせる。