深淵に棲む魚


 屋形船の桟に座る男を川の中から眺めている。

 そんな錯覚に支配される。



 男の肌は本当に真っ白で、どこか懐かしいような、不思議な匂いまでした。

 胸の辺りが締め付けられる。

 ずっと忘れていた感覚だった。

 心臓が大きく拍動する。

 耳が熱くなる。



 息苦しい。



 もう、男から一瞬も目が離せなかった。





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