あの時とこれからの日常
「鈍感じゃないし、小悪魔でもないし」

もう、黒崎先生みたいなこと言わないでよね

唖然とした莉彩の言葉にむっとして、しるふの瞳が少しだけ細まる

「いや、言わせていただきますが、まず長谷川先生ね、残念なことに他病院勤務になったけど、あと内科の佐藤君あれもしるふ狙いだったから」

ついでにファンと称される方々の名も羅列してあげようか?

「え、佐藤君が?」

「そうよ。一緒にご飯食べてたじゃない」

研修医時代のことだけれど

「あれ?あれは、食堂でご飯食べてたら佐藤君が隣良いですかって言うから、どうぞって言っただけだよ」

「周りの席かなり空いてたでしょうよ。その中でわざわざ隣に座るってどれだけ勇気のいることだと」

でも、それが相手に伝わっていないのなら何の意味もないか

「え、違うよ。あそこの席日当たりよくて眺めがいいからだよ」

そう言ったら頷いてたもん

「……しるふ、ごめん。私ちょっと今黒崎先生に同情した」

これだけの鈍感娘をよくもまあ守備していることだ

本人は守備されていることにすら気が付いていないで、

こうして莉彩の前でむくれているのだし

あとでお疲れ様です、とでも声をかけてあげようか
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