gardenquartz 小さな楽園
Don't Move or Movie

まるでスローモーションを見てるような
ゆっくりとした動きで俺は碧さんを見た。

碧さんは左腕から真っ赤な色を飛び散らせ
その場にしゃがみ込んだ。

俺は碧さんの所に走って側に行こうとした。
その動作がスローモーションなのだ。


しゃがみ込んだ碧さんの腕を握ったら、そのスローモーションはおさまり、碧さんの盾になるようにして、辺りを見回した。


気配がない。俺は焦った。敵は何処かに居るのは確かなのに気配が全く無い。
俺の後ろで、碧さんが声を殺して、息を整えようとしている。


【落ち着け!焦るな。必ず隙がある。】

俺は自分に言い聞かせて、じっと気配を探った。



パラパラ!!


俺は草むらに向かってペイント弾を撃ち込んだ。


ピーピー!!


死亡宣告音が響き渡った。
3人の男が草むらから出てきた。


ピーピー!!と宣告音を鳴らしながら、構わず、3人の手には各々ナイフや斧が握られていた。
奴等は俺達を殺すつもりだ!


俺は碧さんの腕を持ち上げ碧さんを走らせた。
3人の内の1人が碧さんを追い掛けようとした時、俺はソイツの顔面にペイント弾を撃ち込んだ。

『ギャー!!』
男は痛さに悲鳴を上げて地面を転がった。


後の2人と俺は間合いを取って互いに飛び出すタイミングをはかった。


ヒュン!!
何かが2人の男に飛んできた。
次の瞬間
2人の男は全身を小刻みに震わせ、地面に倒れ込んだ。

SP5人が【死体(死亡宣告者)】を回収しに来たのだ。


俺はSPに罵声を浴びせた。

『来るのがおせーんだよ!!しかも、そいつ等は俺達を
殺すつもりだったんだぞ!!
このゲームは【ゴッコ】じゃないのかよ!!』


すると、SPの1人が俺を見た。
そして、言った。
『確かに【ゴッコ】だが、ゲームに事故はつきものだ。
そうだろう?坊や。』


俺はハッとしてSPを見た。


ディーンだ!!

ディーンは右手を軽く上げると、他のSP達は【死体】を回収して去っていった。

ディーンはニヤリと笑い口から何かを俺の直ぐ近くの木の幹に突き立てると、他のSPと同じく草むらに消えていった。



俺は誰も居なくなったのを確認すると、ディーンの放ったモノを幹から取り出した。
5センチ程の銀の筒で筒を回すと2つに割れて、紙が数枚出てきた。


俺はそれを元に戻して、慌てて先に逃がした碧さんを追いかけた。







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