gardenquartz 小さな楽園
修利は煙を吐きながら雲を見つめ言った。
『なぁ。和樹。お前夢ってある?将来とか考えてない?』

俺は目を閉じたまま答えた。
『夢とか将来なんて分かんねぇよ。取り合えず高校行ってって感じ。学校に何も期待してねぇし。』

修利が溜め息をついた。

『不安て言うか、心配じゃないか?』

俺はダルそうに答えた。
『心配なら授業出て進学したらどうよ…。』

『何かそれも違うんだよ。俺このままでダラダラして、このままつまんない大人になるのかな…。って思ったら虚しくてさ…。』

俺は肘をついて修利を見た。 
修利はハーフだ。しかし、父親は自分の国に居て日本には来れない。
理由は知らない。
母親は夜のスナックで雇われママをしている。
母親との会話は英語で話し、家の外では日本語を使っている。

修利は父親の顔を見るのは写真の中だけだが
、父親を尊敬している。
俺には理解できないけど。

俺は自分の親の事を思い浮かべた。
天真爛漫な母親。無口な父親。
正反対の夫婦。でも、居心地は悪くない。
親子関係も普通。
平凡な家。


不満も無いけれど自慢する程でも無いかな。
そうこうしているうちに授業終了のベルがなった。
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