キミの空になりたい


今のは……一体、どういう意味?


涌井君の事を好きになっても、無理って?


それは、私が涌井君のタイプじゃないからって事?


それとも、やっぱり彼女がいるからって事?


彼のエナメルバッグについてた、野球ボールのお守り。


小さい物なのに、存在感があった。



「好きにならないほうがいい……」



私は小さくつぶやいて、自分の席へと行く。


想いは届く事はないから、好きにならないほうがいい……。


でも、そんな事を言っていたら、誰も好きになんかなれない。



人気者の涌井君を好きになった時から、そんな事は覚悟している。


今さらそんな事を言われても、止まらないよ。



止められないよ……。


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