『アナタさ、』


そのうち、たくさんの人が登校してきた。

教室はあっという間に賑わった。

それでも私は顔をあげられなかった。
熱が、いつまでも引かないんだ。

彼は涼しい顔で頬杖をついて、窓の外を見ているのに。

…だめだ。

やっぱり彼は厄介だ。

「おはよう、ハル」

「お、おはよう蓮」

蓮は、きっと不思議に思ったに違いない。
目も合わせずに挨拶をするなんて。

「具合でも悪いのか?」

「ち、ちがうよ!大丈夫」

そうかぁ〜?と言いながら彼は自分の席に戻って行った。

…やっぱり私の日常は変わってしまった。

普通では、いられない。



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