『アナタさ、』


「ねぇ」

「…ん?」

話しかけられて、首を傾げて彼の方をみた。

「…アナタさ、好きな人いるの?」

…え?
好きな人…?

そんなの、いるわけ…

…ほんとに?
いない?

だって私…
すごく蓮見くんにドキドキしてる。
気がつけば蓮見くんのこと考えてる。

それって…
好き、ってことだよね…?

好きな人…できたかも。

でも…

「わ、かんない…かな」

「そっか」

特に意味はなかったのか、彼はそれから何も聞いてくることはなかった。

ただ、頭はひたすら撫でられて、髪がぐしゃぐしゃになりかけただけで。
それからは何もなかった。

…はずだったんだけど。


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