神様修行はじめます! 其の三
「うあぁぁ~~??」


しま子の意識が戻った。


まん丸なひとつ目をパチパチさせてキョトンとしている。


あたしが居るのに気が付くなり、「うあっ!」と叫びながらあたしをギュウッと抱きしめた。


そして嬉しそうに頬擦りしてくる。


あたしもしま子の体をぎゅっと抱きしめた。


「しま子、寂しかったでしょ? それに心配かけてごめんね」


「うあぅ、ああう~~!」


「しま子よ、ご苦労じゃったの。さてそれでは行くぞ」


「行く? どこへよ?」


「門川へ戻るんじゃよ。大至急での。岩よ、お前達とはここでいったん分かれるぞ」


へっ!? 分かれる!? なんでよ!?


セバスチャンさんが絹糸の言葉に同意した。


「そうさせていただけますと、大変に助かります」


「なんで!? どうして!?」


「恐らく、千年前の惨劇が再現されるからじゃ」


え!?

あたしは驚いて絹糸を見た。


絹糸は真剣そのものな表情であたし達を見上げている。


「雛型が真実を知った今、素直に結界を張り続けるとは思えぬ」


「世界中の座り女が雛型の分身である以上、全ての結界は解除されてしまうでしょうね」


「千年前と同じ状況になる。この世界は異形のモノであふれかえるのじゃ」


そんな! そんな事になったらまた大勢の人の命が!


あたしはゴクリとツバを飲み込む。


背中にゾクッと寒気が走る。世界に訪れる惨劇への恐怖に。

そして・・・


千年前と・・・同じだ。


同じ悲劇が繰り返されようとしている。


罪人と、それを取り巻く者達が迎えた悲惨な末路が・・・。


逃れられない運命のようなものを感じて、あたしの心に暗雲が立ち込めた。
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