神様修行はじめます! 其の三
か、かいしゃの・・・

共同、経営者・・・・・・?


あたしはカックンと頭を前に垂らした。


ジンジン火照る手で、自分の顔を覆って深い溜め息をつく。


はああ~・・・なるほどそういう認識かぁ・・・。


門川君は自分なりに結婚というものを真剣に考えて、いちおう、答えを導き出したんだ。


かなりトンチンカンな回路だけど。


「政治家と選挙について書きなさい」って作文の宿題に、フルーツバスケットのルールを延々と書いてるようなもんだ。


あながち、完全に的外れってわけでもないところが、余計にまた・・・・。


ここらへんの絶妙なズレ具合が、どーにも門川永久なんだよねぇ。


「上層部の者達と一緒に、花嫁候補の書類を見ながら熱心に協議しておるわ」


「ちょっと・・・それって・・・」


「うむ。よいカモということじゃな」


絹糸が渋い顔をした。

あたしは顔を上げ、眉間にシワを寄せる。


門川君は、両親も永世おばあ様も亡くした。


だから彼がお嫁さんを貰えば、その一族が唯一の家族になる。


家族は門川当主の親という、絶大な地位を手に入れるんだ。


・・・・・・・・・・・・。


あたしはスクッと立ち上がった。


つられて一緒に立ち上がったしま子が、怪訝そうにオズオズとあたしの顔色を伺う。

そして・・・


あたしの険悪そのものの表情に、ビクッ! と怯えた。


・・・許せない。許せない。絶対。

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