神様修行はじめます! 其の三
ンモオオォォ―――!!

牛達が勇ましい雄叫びを上げ、逞しいツノで異形のモノ達を撃退する。


近寄るもの全てを跳ね飛ばすほどの素晴らしいスピードで爆走を続けた。


うわわっ!? お、落ち・・・!

この状態で落ちたら、命にかかわる~!


しっかりと支えてくれるしま子の腕に、あたしは懸命にしがみ付いた。


異形のモノ達はどんどん群がってくる。


なにしろ里を埋め尽くすほどの数だ。周りはあっという間に囲まれてしまった。


ど・・・どーしよう!? もう進めないよ!


― ボコボコボコー!! ―


雪煙を上げてペンギン達が無数に飛び出してくる。


体当たりの一斉総攻撃をかけ、牛の前方に血路を見出してくれた。


「皆様! 突っ切りますよ!」


あたし達は大急ぎでその場を抜け出した。

あ、ありがとうペンギンたち!


前方に大きな木製の物置小屋が見えてきた。

小屋の両開きの扉が開いている。


あ・・・あれは! 人がいる!!


「岩さま―――!!」

「みんな! 早くこっちへ!!」


権田原のおじさん達が、鍬を手に異形のモノ達と戦っていた。


あたし達はそこを目指して走る。


ドドドッと小屋の中に走りこんだ。


防御してくれていたおじさん達も転げるように中に飛び込んでくる。


中に待機していた人達の手によって、扉が素早くしっかりと閉じられた。


『ギャアアァァオゥ!!』

『グゲエッ!! グルルゥ!!』


おぞましい叫び声と、小屋の壁を乱雑に殴り付ける様な音。


この小屋も取り囲まれてる。

だ、大丈夫だろうか・・・。


不安に目を泳がすあたしに、権田原の民たちが力強く言った。


「大丈夫。この小屋は木材も造りも特別性能だべ。あんな奴等にゃビクともしねえさ!」
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