神様修行はじめます! 其の三
門川君があたしの手を握ってくれて、あたし達は一瞬見つめ合い、そして同時に走り出す。


共に信じる世界を築くために。

この足が地を踏み、駆ける毎に近づくであろう、あたし達の未来のために。



冷たい向かい風を切るように走り続け、あたし達は端境一族が居た場所からどんどん遠ざかった。


道はずーっと単調な一本道で、両側には背の高い木々が続くばかり。

どこにいるんだろう、雛型は。


「絹糸、雛型の気配読める?」


あたしの問いに、先頭を走る絹糸が頷いた。


結界が破れたお陰でハッキリ感知できるんだろう。黄金の目は真っ直ぐ前を見ている。


やっぱりこの先にいるんだね。急がなきゃ。


―― ユラリ・・・


突然、前方の空間全体が、陽炎のように歪んだ。


今にもその部分に突っ込みそうだった絹糸が、危うく寸前で立ち止まり、皆が慌てて次々と足を止めた。


「・・・あ、れ? 今ここ、歪んでなかったっけ?」


さっきは確かに歪んだと思ったけど、いま見てみると、別に何の異常も見られないな。


変ね、目の錯覚かな? 疲れ目?

いやしかし、全員揃って同時に疲れ目ってのも妙よね?

もう一度、よーく目を凝らして・・・


―― ユラ・・・ユラリ・・・


「あ! やっぱり動いた!」


思い出したかのように空間が歪みだした。

まるでフェイクの画像が、システム障害でも起こしてるみたい。


多分これが、端境の人たちが言ってた結界なんだ。


うわ、ずいぶんと広範囲の結界ね。見渡す限りじゃないの。


本当に端境って、結界術に秀でている一族なんだ。
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