神様修行はじめます! 其の三
「門川君、ありがとう」

上機嫌でお礼を言うあたしの顔を見る門川君の表情は、なぜか浮かない。

どうかしたのかな? さすがに疲れたとか?
でも彼の体も一緒に回復しているはずなんだけど。

「僕は、自分が情けなくて仕方ない」

暗い表情で、彼はそう言った。

「塔子殿や、天内君や、マ・・・端境当主殿が戦っている間、僕は何もできなかった」

暗い瞳が、辛そうにあたしを見つめている。


「すまない・・・。僕は君を守ることができなかった」

「門川君、そんな」


あたしは慌てて片手をパタパタ横に振り、否定する。

あたしだって、別に何をしたわけじゃないよ。
ただイモ虫になって、イモイモ這いずってただけだし。


「いや、君の懸命な行動が塔子殿の真実を引き出し、それが端境当主殿の心を動かしたんだ」

「いや、だからそんな・・・」

「僕はこの重大な局面で何もできなかった」

「門川君は、しま子達を治癒してくれていたじゃん」

「しかし当主として、あまりにも力不足だ。自分の不甲斐なさに腹が立つよ」

「あのね、門川君は何でもかんでも、背負いすぎるんだよ」


今まで何でもかんでも自分でやるしかなかったから、そういうクセが身に沁みついちゃってるんだろうけど。

でも今は、状況違うでしょ? 頼れる仲間がいるんだよ。

だからさ、何もかも全部ひとりでやろうとしなくていいの。

戦闘も、治癒も、救出も、その全部に自分に責任があるって思い込まなくていいんだ。


ひとりの力には限界がある。
いくら門川君が化けも・・・いえ、天才的な能力の持ち主だとしても。

だから実際、これまでの戦いでは、諦めなければならない命もたくさんあった。


でも今回は違ったよね?
今までだったら救えなかった命も、今回は救えた。みんな助かった。


だから今回は、これが最良の結果で、門川君が自分を責める要素は無しって事だよ。

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