神様修行はじめます! 其の三
知ってた!? こうなる事って、どうなってんのよ!?

なんでたまきさんの体が、砂みたいに脆く崩れてるの!?


「我と違い、雛型は元々人間。千年生きる人間など、本来はありえぬ」

「でも、端境の結界の中で守られてるんでしょ!?」

「雛型という名の道具であれば、の。だがあの者は今、たまきという名の人に戻った」

「・・・!」

「受け入れたのじゃ。千年の現実を」

「そんな・・・!」


受け入れるって、つまりこういう事だったの!?

たまきさんの体が、千年分の反動に襲われるって事!?

そしてそのまま、死を迎えるって事だったの!?


「それを受け入れろって、絹糸は彼女に言ってたの!?」

「そうじゃ」

「そんなのひどい! なんでよ!?」

「それが現実であり、道理であるからじゃ」

「ど、道理って・・・!」


あたしは、頭の中でプチッとキレる音を聞いた。


「道理も地理も物理もあるもんかっ!!」


だって彼女は、やっとの事で救われたんだよ!?

なのに次の瞬間はもう死・・・あぁもういい! しゃべってるヒマ無い!

たまきさんの両肩がもう、崩れて無くなってしまってる!


あたしは急いでたまきさんに近寄って、手を出そうとして思わずビクッと引っ込める。

さ、触ったりしたら余計に崩れそう。

どうすれば彼女を助けられるんだろうか。

・・・そうだ! マロに頼めばなんとかなるかも!?


「マロを呼んでくる!」

「よせ、小娘」

「だって!」

「呼んでどうする? また雛型という道具に変えるのか?」

「・・・!」

「あの者がこの世で生きていくには、雛型であらねばならぬのじゃ」

「そんな・・・」

「あの者は、人に戻った。それが答えじゃ」


生きる事を望むなら、雛型に。

人に戻る事を望むなら、死。


・・・・・

なぜ?

なぜたまきさんだけが、いつもいつもこんな苦しい選択を迫られるの!?

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