神様修行はじめます! 其の三
あたしが、彼の弱点になっている。


そのせいで彼が責められ、攻撃されている。


だからといって、あたしが門川を去ってしまっても良いものなのか・・・。


彼の元を離れる?


・・・できるの? あたしにそんな事が。


でも、あたしがここにいれば彼の立場が・・・


堂々巡りだ。答えなんて出ないよ。


だから絹糸も何も言わずに黙っていたんだ。


あたしが、出口の無い迷路で悩む事になるのが分かっていたから。


罪って、なんなんだろう。


あたしが生まれるよりずっとずっと前の罪。


罪は連鎖するものなんだろうか。


どこまで? そして、いつまで?


罪人の孫は、罪を負わなければならないんだろうか?


そしてその罪は、どこへいくの?


あたしの子や、孫までも背負っていくのだろうか?


「さぞやお辛いでしょう? お察し致します」


そっと耳元に優しい声がささやかれ、あたしはハッとした。


見上げるとセバスチャンさんの穏やかな笑顔がある。


「沈黙は金なり、と申します。今はどうかご辛抱下さい」


「セバスチャンさん・・・」


「新当主が就任したばかりで、世間はまだ興奮しております。落ち着けば状況も変わりましょう」


「・・・はい」


「興奮した蜂の巣は突付かぬのが賢明。どうか、しばしのご辛抱を」

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