君はここにいる



「あぁ、こっち女子寮の庭なんだ」

「フフ、柵がないからわからないわよね。真ん中の道からこっちは女子寮、あっちが男子寮の庭なの」


零次を案内しながら寮がある庭を散策する
芝生を敷き詰め、色とりどりの花が植えられていてただ歩くだけでも退屈はしない


「そこまで厳しくはないけど、暗黙の了解かしら。あまり男の子が女子寮のそばにはよらない方がいいわ」

「罰がある?」

「学園側からはないわ」


キョトンとする零次に輝夜は苦笑する
この学園の生徒がどんなものか知らずに転入したのなら、その反応も仕方がないように思えた



「零次君、先生から一応聞いたかしら?ここの生徒はみんな異能を持ってるのよ」

「え?あぁ…………もしかして」

「そうよ、自分達の身は自分で守るの」


ヘタな警備よりも烏乃学園の女生徒は強い
その異能によって

よし、絶対近づかないと言った零次に輝夜は更に苦笑を深めた


「輝夜!まじないを…………って、なにしてんねん!」


突然降ってわいた声に輝夜は振り向く
そこには零次と輝夜を見比べて顔をしかめる晴明がいた


「あっ!さっきの」

「なんや転校生!」

「なんだはないだろ?いきなり仕掛けて来たのはそっちじゃないか」


とげのある晴明に対して、零次はどこか楽しげに言った
苦味を含んだ顔で晴明はため息をついた






< 16 / 17 >

この作品をシェア

pagetop