君はここにいる
「あぁ、こっち女子寮の庭なんだ」
「フフ、柵がないからわからないわよね。真ん中の道からこっちは女子寮、あっちが男子寮の庭なの」
零次を案内しながら寮がある庭を散策する
芝生を敷き詰め、色とりどりの花が植えられていてただ歩くだけでも退屈はしない
「そこまで厳しくはないけど、暗黙の了解かしら。あまり男の子が女子寮のそばにはよらない方がいいわ」
「罰がある?」
「学園側からはないわ」
キョトンとする零次に輝夜は苦笑する
この学園の生徒がどんなものか知らずに転入したのなら、その反応も仕方がないように思えた
「零次君、先生から一応聞いたかしら?ここの生徒はみんな異能を持ってるのよ」
「え?あぁ…………もしかして」
「そうよ、自分達の身は自分で守るの」
ヘタな警備よりも烏乃学園の女生徒は強い
その異能によって
よし、絶対近づかないと言った零次に輝夜は更に苦笑を深めた
「輝夜!まじないを…………って、なにしてんねん!」
突然降ってわいた声に輝夜は振り向く
そこには零次と輝夜を見比べて顔をしかめる晴明がいた
「あっ!さっきの」
「なんや転校生!」
「なんだはないだろ?いきなり仕掛けて来たのはそっちじゃないか」
とげのある晴明に対して、零次はどこか楽しげに言った
苦味を含んだ顔で晴明はため息をついた