ケチャップのないオムライス【短編】
「あいつ?」
思わず聞き返してしまう。
私の視線に気づいた木嶋さんが顔をあげる。
お酒のせいじゃない、照れた時の頬の赤みがそこにはあった。
好きな人、ですか?
どうしても、それを聞くことが出来ない。
私が戸惑っていることも知らない木嶋さんが、お酒のせいで饒舌になる。
「俺、ずっと片想いしてるんだ。全然脈ナシでさ」
片想い…
叶わない、だとか諦めるべきかな、と言いながらずっと笑ってる。
そんなにも幸せなら、ずっと好きでいればいいじゃない。
そんなにも好きなら、一方通行でも幸せじゃない…