ケチャップのないオムライス【短編】


次の日、お洒落さの欠片もない居酒屋に啓太と私はいた。

あからさまに気を落としていた私は、会ってすぐに昨日のことを啓太に話した。



好きな人がいたこと、

その人といい感じになったこと、

でもその人には片想いの相手がいたこと、



なのに幸せそうだったこと…


「私が分かりやすく誘ってるのに、どうして?

叶わない相手なのにどうして幸せなの」



「そりゃあ好きだからだよ」

へラッと当たり前だというように答える啓太。

あまりにも軽くかわされた気がする。


「怒るなよ。俺には分かるんだよ」

「どうして?」




「菜緒が好きだから」


いつになく真剣な眼差しで言うから、思わず頷きそうになってしまう。
< 103 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop