意地っ張りな親指姫
「可愛い女の子になりたい」

「姫芽は可愛いじゃない」

「え!? あたし声に出してた!?」

「うん」


うそでしょ~。


「姫芽は可愛いわよ? 小さくって小動物みたいだし、そのふわふわしたロングヘアも、そういうちょっとしたことで落ち込むとこも」

「ちっちゃくなんかないし、これただのくせ毛だし、ネガティブなだけだし」

「ちょっとは自分のビジュアルを有効活用しなさいよ。もったいない」

「有効活用って……」


佳奈ちゃんはそういうとこ魔性の女だ。

自分の可愛さを自覚してて、それをしっかり利用している。


「じゃあ、姫芽の思う可愛いって何なの?」

「こう、雰囲気がふわふわしてるっていうか、優しくてはいつも笑顔で控えめで守ってあげたくなるような! ピンクとかレースとかが似合うような!」

「姫芽の趣味はメルヘンだよねぇ」

「似合わないのは知ってるもん」

「そんなこといってないじゃん」


写し終わったノートの上にうつ伏せる。


「女の子らしくなりたい」

「姫芽の女の子らしいは極端だと思うけどなぁ」
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