Loneliness



【Talk:刹那】



父さんに連れて行かれた部屋で
テューロの毒殺の様子を見せられた。



鼻や口、耳から血を流すテューロの姿に、
あたしは発狂しそうに なった。



それを留めてくれたのは、日里と瞬だった。



2人は、黙って手を握ってくれた。
手を繋ぐなんて幼少期以来で、
けれど何だか とても安心した。



暫く画面を見ていて、
テューロが脱出しようとしている事が解り、
あたしは部屋を飛び出した。



「テューロっ!!」



あたしが部屋に飛び込んだのと、
テューロが その奥に在る扉から
出て来たのは同時だった。



そのまま床に俯せに倒れたテューロに、
あたしは駆け寄った。



「テューロ! テューロっ!!」



必死に呼び掛ける あたしの鼻から、
血が流れる。
毒殺用に用意された部屋から
毒が漏れているんだと解った。



その時、肩に誰かの手が置かれ、
あたしは ばっと顔を上げた。



視界に映ったのは、
幼馴染み――日里の姿。



「刹那、此処に居ると毒が出て来るし、
刹那の お父さんも来ちゃうよ。
逃げよう?」



そう言って
いつもみたいに笑ってくれた日里に、
あたしは安心して、頷いた。

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