Loneliness



どうやら舌を噛んで
自殺する事を避ける為に
口の中に布か何かが
詰められているようだ。
話す事も出来ないし、
とても息が しづらい。



意識を失う前の出来事を
思い出してみる。



確か……
フェイルが失敗して
貸家に王立騎士団が来て……。



俺は、死ななかったのだろうか。



すると その時。



こつこつと複数の人間の足音が聞こえ。



「どうやら目覚めたようだな。」



そんな台詞と共に、
5人の人影が現れた。



声の主は50歳くらいの
男性のものだろう。
オールバックに された赤髪、
何処か寂しげな金の瞳。



「私は この“最果ての刑務所”の
所長だ。」



最果ての刑務所。



聞いた事が在る。
王国の王都に在る、
最も大きく残虐な刑務所。
重い罪を犯した罪人が送られ、
生活したり殺されたりする場所。



今迄 王国に来たスパイは皆
殺されていた筈だ。
何故 俺は、この刑務所に?

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