私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
「あん……」


吐息と共に、甘い声が私の口から漏れてしまう。恥ずかしいけど、止められない。体の全てが敏感になり、どこを触られても感じてしまうから。


「綺麗だ……」

「恥ずかしいから、見ないで?」

「無理……」


私は殆ど裸にされ、最後に残った薄く小さな布に剛史さんの指が掛けられた瞬間、


「イヤ!」


私は叫ぶと同時に、彼の手を払い除けてしまった。


「裕美?」

「ご、ごめんなさい」

「嫌なのかい?」

「そうじゃないの。急にある事を思い出しちゃって……」

「ある事?」

「うん。中学の時、同級生の男の子に乱暴されかけたの。寸前で誰かが助けてくれたんだけど、その時の事を思い出しちゃった。怖くて、悔しかった事を……」

「そんな事があったのか……。辛かったろうね? やめるかい?」

「ううん、やめないで? 私、あの事を乗り越えたいの」

「わかった」


再び剛史さんの指が触れたけど、今度はあの事がフラッシュバックする事はなかった。それでホッとしたのだけど……


「あ、待って?」

「やっぱりダメか?」

「違うの。私、あなたに言っておきたい事があるの」

「ん?」

「私……実は初めてなの」

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