私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~
私は今、剛史さんに連れられて彼の家に向かっている。彼のお泊まりの荷物を取りに行くためだ。
彼の家は駅からほど近く、歩いて行けるらしい。商店街を抜け、住宅地に差し掛かってしばらくすると、ある二階建ての家の前で彼は立ち止まった。
「着いたよ」
特別大きくもなく、でも小さくもないその家の門扉には、確かに『岩崎』の文字。
「剛史さんのご家族に会うの恥ずかしいなあ」
と私が呟いたら、剛史さんは「あっ」と言った。
「いっけねえ……。裕美の事を言うの忘れてた」
「えーっ? ご家族に言ってくれてないの?」
「うん。前に今度連れて来るかも、とは言ったんだけどね。今日とは言ってない」
「もう、やだあ。だったら私、外で待ってる」
「なんで?」
「だって、いきなり伺ったらご家族にご迷惑でしょ?」
「そんなの構わねえよ」
「私は構うんです!」
「ダメだ。荷造りに時間が掛かるかもしれないし、裕美を一人には出来ない」
「でも……」
「諦めろ」
そう言って剛史さんは私の手をギュッと握った。
彼の家は駅からほど近く、歩いて行けるらしい。商店街を抜け、住宅地に差し掛かってしばらくすると、ある二階建ての家の前で彼は立ち止まった。
「着いたよ」
特別大きくもなく、でも小さくもないその家の門扉には、確かに『岩崎』の文字。
「剛史さんのご家族に会うの恥ずかしいなあ」
と私が呟いたら、剛史さんは「あっ」と言った。
「いっけねえ……。裕美の事を言うの忘れてた」
「えーっ? ご家族に言ってくれてないの?」
「うん。前に今度連れて来るかも、とは言ったんだけどね。今日とは言ってない」
「もう、やだあ。だったら私、外で待ってる」
「なんで?」
「だって、いきなり伺ったらご家族にご迷惑でしょ?」
「そんなの構わねえよ」
「私は構うんです!」
「ダメだ。荷造りに時間が掛かるかもしれないし、裕美を一人には出来ない」
「でも……」
「諦めろ」
そう言って剛史さんは私の手をギュッと握った。