サイコーに不機嫌なお姫様。



やっとアパートに着いたところで俺たちの人生の一つのイベントが終わった。



「とりあえず今日から両家公認のお付き合いだな!」


「うん! 疲れたぁー」



なおはジャケットを脱いで笑いながら話す。



「ツッチーはお母さん似だね!」


「へ? そう? 初めて言われた」


「あのすべりっぷりとかそっくり! パエリアをパパイヤって……」


「あれは天然なんだよ! 俺は天然じゃねーよ!」



無邪気に笑うなお。今日、改めてなおが彼女でよかったって何度も思ったよ。



「なおは俺が彼氏でよかったって思える瞬間ってある?」



なおはポカンとした表情で右手で頭を押さえて考え込む。



ひょ……ひょっとしてない?



「今この瞬間も……ツッチーと一緒にいる時間すべてかな?」



それはまるで天使のような笑顔。



以前だったら照れて言わないなおがここまで正直に気持ちを伝えてくれて……



俺、マジで嬉しいよ……






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