サイコーに不機嫌なお姫様。

第３話：嫉妬(前編)

「……なおちゃん、そんなに髪、長かった？」


「ぷ……エクステだよ。急に１０センチ以上も伸びるわけないじゃん」



仕事あがりに俺のアパートを訪ねてきた彼女。笑いながらソファーに腰掛ける。



美容師のアシスタントをやっているなおは、よくヘアスタイルが変わる。



パーマをかけたと思いきやストレートに戻る。ばっさりカットして、もうしばらくは同じヘアスタイルかなって思っていたら……



エクステ？よく知らないけどつけ毛だって。




「アシスタントについてる先輩にやってもらったんだ。私もカットモデル欲しいなぁ」


「俺がモデルになろうか？」



ニコニコしながら隣のソファーに腰掛ける俺。



なおは俺の顔をジィっと見つめて一言。



「……モデルが悪いな」



………………………。


カッチ一一一ン！！



今日も元気よく意地悪スイッチONだ。



「何だとコラ！」


「わわ！　冗談も通じないの！？　頭固すぎるんだよ！！」



ハイハイ。知ってますとも。


だってこんな瞬間じゃないと姫の手を掴んでキスなんてできないだろ？