嘘の誓いとLOVE RING
「圭祐…」
どう応えていいのか分からない。
そもそも、圭祐は応えを求めているのかも分からないのに。
すると、それに気付いた様に圭祐は言ったのだった。
「俺は、だからって自分を好きになって欲しくて言ったんじゃない。兄貴と幸せになって欲しい。それが本音なんだ。だから…」
「だから?」
「だから、美亜に俺が結婚相手だったら良かったなんて言わせる兄貴が、心底許せねえ」
圭祐は、声を震わせている。
そこまで、私を想ってくれているのか。
胸が熱くなる気持ちが、止められなくなっていた。
「ありがとう、圭祐。私、今まで何を見ていたんだろうね。圭祐は、こんなにも優しいんだ」
そっと手を差し出すと、圭祐が戸惑いを見せながらも、手を重ねてくれたのだった。
その温もりが、少しずつ心を癒してくれる。
「眠そうだな、美亜。横になって寝ろよ」
「うん…、ありがとう」
久しぶりに、眠りにつく事が出来た。
圭祐の温もりを感じながら眠ったのに、夢に出てきたのは凌祐だった。
夢の中の凌祐は、私に笑顔を向けて優しく抱きしめてくれて…。
その胸に体を預け、何かを言おうとした時、目が覚めたのだった。
夢の中とはいえ、伝えられず目が覚めた事にため息が漏れる。
夢の中でくらい、伝えたかった。
“好きだよ”
その言葉を。