嘘の誓いとLOVE RING
すると、凌祐は私の肩に優しく触れると、ソファーに座る様に促したのだった。
そして、自分も隣に座り、穏やかな口調で話してくれた。
「彼女はね、とても可愛くて、少し気が強くて、でもどこか抜けていて。とにかく、全てが好きだと思える人なんだ」
「そんな人がいるなんて、知らなかった。昔の彼女?」
そう聞くと、凌祐はゆっくりと首を横に振った。
「違うよ。彼女には、告白すらした事はないから」
「何で?」
凌祐なら、きっとフラれる事はなさそうなのに、なぜ告白すらしなかったのだろう。
「だって、彼女は俺を好きじゃなかったから。それは、見ていて分かってた」
「そう…」
何と言っていいか分からないけれど、凌祐をそこまで振り回す女性がいる事に驚きだ。
恋に悩みはなさそう…、そんなイメージなのに。
「ただ、見ている事しか出来なくて、彼氏が出来た時には、心底嫉妬した。と同時に、自分が情けなかったけどな」
小さく笑った凌祐の顔は、どこか寂しそうだ。
きっと、思い出すだけで切ないのだろう。