嘘の誓いとLOVE RING
「仕事が早く終わって来てみたんだけど、美亜の姿が見当たらないからさ。それより、どうかしたか?息が切れてるけど」
「息が切れてる!?ううん。大丈夫よ。今、お手洗いだから、すぐに戻るね」
何で、息が切れてるのよ。
これじゃ、まるで敦貴に感じちゃってるみたいじゃない。
「あ、ああ。じゃあ、入口で待ってるな」
不審そうな感じだけれど、とにかく誤魔化し切るしかない。
携帯をバッグにしまうと、敦貴に険しい顔を向けた。
「凌祐が来てるの。私、戻らないと」
「そうだな。俺も戻るよ。一緒に行こうぜ」
「一緒に?困るわよ、そんなの」
すると、敦貴はニヤッと笑った。
「途中で出くわしたと、言っておけばいいだろ?息が切れるほど感じてたくせに、今さら俺を突き放そうとしたって無駄だよ?」
敦貴は強引に私の背を押すと、ドアを開け廊下へ戻った。
「ああ、そうだ美亜。一つ言っておくけど、浅井社長は本当に人気のある人なんだ。みんな人妻とはいえ、美亜を妬んでる女だらけだと自覚した方がいい」
部屋へ戻る途中、敦貴はそう言った。
「何で、そんな事を言うの?」
「いろんな意味での忠告だよ。それだけ社長はモテるって事。美亜一人を、わき目も振らず見続けるかな?」
不敵な笑みを向けた敦貴に、私は何も言い返せなかった。
それが、悔しい…。