嘘の誓いとLOVE RING
未来への始まり


私が流した嘘の情報は、ライバル会社に恥をかかせるには効果的だった様で、新製品の開発など出来るわけもないその会社は、“見切り発表”と世間からやゆされた。

そして、敦貴はいつの間にかその名前が、代表者から消えていて、その姿を見る事はなくなった。

どうやら、凌祐のライバル会社からバックアックを受けていたらしく、今回の件で見限られたらしい。

その責任を取ったからかは分からないけれど、敦貴のその行方は分からなくなっていた。

「佐倉さん、本当に行っちゃうんですか?」

澄み渡る青い空が広がる午後、私は凌祐と圭祐と一緒に、空港へ佐倉さんを見送りに来ていた。

秘書の仕事を辞めた佐倉さんは、アメリカへ留学をする事になったのだった。

仕事を辞めた理由は、凌祐も教えてくれない。

きっと、二人なりに納得した結論で決めた事なのだろうと、それ以上は追求しなかった。

「はい。私がいると、社長は良からぬ事ばかり考えつきますから」

バツ悪そうに苦笑いする凌祐と、楽しそうに笑う佐倉さん。

それを、圭祐は呆れた顔で見ていた。

「そうだよなぁ。兄貴は美亜にヤキモチ妬かせようとしたり、会社のスパイを見つけようとしたり、とにかく佐倉さんと組んで芝居をするもんな」

「それを言うなって」

二人のやり取りを、クスクス笑って見ていた佐倉さんは、搭乗アナウンスと共にゲートへと向かった。

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